オーケストラの演奏で指揮者が指揮棒を振り下ろしてから、少し遅れて音が鳴るのを感じることがあります。つまり指揮とオーケストラの演奏とがあっていないように感ずることがよくあります。
でもこれは演奏が「出遅れた」のではありません。指揮棒が動いてから音が鳴るまでほんのわずかの時間差が生じて、それがずれて聞こえるのが原因です。短距離走者がスタート音を聞いてから走り出すまで、わずかの時間差がでるのと同じで、オーケストラは指揮についていくのが原則だからです。
また、これとあわせて奏者の技術や感受性に問題があったりして、指揮についていくのが大変な場合もあります。さらに、楽器によっても差がでます。長い管を持っていて発音に時間がかかるホルンや、大型で不器用なコントラバスやテューバなどは自然とずれがちになります。
また、聴衆の座る席によっては、会場が大きい場合などは、視覚的に見る指揮者と耳で聞く音の伝わる早さでの違いから、遅れて感じることが生じてきます。オーケストラのように100近くの奏者が、指揮者について完璧に演奏するのは大変なことのようです。
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