オーケストラには指揮者がどのような立場にあるかを示す称号がつけられています。指揮者の称号には厳密なルールがあるわけではありません。オーケストラによってそのニュアンスは違っています。
音楽監督
オーケストラのプログラミングやソリストの選考、役員に人事などにも積極的に関わって、強大な権限を持ちます。演奏回数も最も多く、年間の定期演奏会の3分の1程度と、特別演奏会などの指揮をし、そのオーケストラの活動内容や演奏の成否を左右します。それだけに音楽的な能力と合わせて人格的にも優れている指揮者でないとつとまりません。
常任指揮者
実質は音楽監督と同格とみなされます。ただし楽員人事などのような運営面にかかわることを嫌い、ただひたすら素晴らしい音楽とオーケストラを創りたいというような、純粋な音楽家気質の持ち主が多いようです。
名誉指揮者
オーケストラの「音楽監督」や「常任指揮者」を務めたような、永年にわたってそのオーケストラに貢献した人に贈られる称号です。また楽員や聴衆に対して素晴らしい演奏を数回やっただけで贈られることもあります。
桂冠指揮者
素晴らしい演奏をする客演指揮者でその回数が多くなると、オーケストラ側が心からの感謝といつまでも指揮を続けてくださいという願いをこめて贈る称号です。
永久指揮者
永年オーケストラに貢献してきた指揮者が亡くなったあとに贈られる一種の戒名のような称号です。
客演指揮者
楽員と聴衆に人気があり、数多く定期演奏会に招かれるゲスト指揮者です。その客演指揮で認められて音楽監督や常任指揮者になっていくこともあります。客員指揮者の中でもその実績がより認められると「主席」が付けられます。
正指揮者
英語でパーマネントコンダクターと訳されているように、「永遠に私たちの指揮者です」というような思いをこめた称号です。特にオーケストラへの権限や、演奏回数に対する約束はないようです。
アシスタント指揮者
練習や本番に立ち会って、指揮者と楽員の双方の現場を体験して、一人前の指揮者になる前の研修生です。
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