マーラーが自らの「交響曲第4番」を初演したミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団は、19世紀からの歴史を持つ名門オーケストラです。1979年からは20年以上にわたって、録音嫌いで知られる異端の指揮者セルジュ・チェリビダッケとコンビを組み、独特の地位を築き上げることになりました。
ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団は1893年にフランツ・カイム博士によって創設されました。創立当初から数々の名指揮者の客演によりドイツの伝統的レパートリーを最も得意としてきた同楽団は、1898年から1905年までフェリックス・ワインガルトナーによって率いられ国際的な名声を高めました。1910年にマーラー自身によって行われた交響曲第8番「千人の交響曲」の世界初演や、ブルーノ・ワルターによる「大地の歌」世界初演などによって、いっそう国際的に注目されるようになりました。
1928年にはミュンヘン市のオーケストラとして、「ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」と改称。第二次大戦後の1967年から76年に音楽監督を務めたルドルフ・ケンペは同楽団に黄金時代をもたらし、数多くの歴史的名盤を世に残しました。
ケンペの後1979年に音楽総監督として同楽団を率いたセルジュ・チェリビダッケは、同楽団のアンサンブル力を極限まで磨き上げ、同時代に在籍した名奏者達の妙技もあいまって、カラヤンが率いるベルリン・フィルと並び賞され、世界中の音楽ファンを熱狂させました。その数々の名演は数多くの録音・映像によっていまも輝きを失っていません。2004年から新たな音楽総監督として着任したクリスティアン・ティーレマンは、就任披露公演のライブ録音などで既に数々の賞を受賞し、この楽団に新たな時代の到来を予感させています。
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