BBC交響楽団は英国放送協会(BBC)の主オーケストラであり、イギリスの主要オーケストラの一つである。なお英国放送協会(BBC)の組織下にはこれ以外にもBBCフィルハーモニック、BBCウェールズ交響楽団(BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団)、BBCスコティッシュ交響楽団ならびにBBCコンサートオーケストラというそれぞれ別個のオーケストラが存在する。
BBC交響楽団は1930年に指揮者・エイドリアン・ボールトによって創設された。ボールトはBBC交響楽団に高い水準のアンサンブルを作り上げ、アルトゥーロ・トスカニーニ、エルネスト・アンセルメ、ブルーノ・ワルター、フェリックス・ワインガルトナー、ヘルマン・シェルヘンなどが客演した。
ボールトは1950年まで首席指揮者の地位にあり、その後は1950年からマルコム・サージェント、1957年ルドルフ・シュヴァルツ、1962年アンタル・ドラティ、1967年コリン・デイヴィス、1971年ピエール・ブーレーズと受け継がれた。ピエール・ブーレーズはBBC交響楽団としての特色を強く打ち出した。現在活躍を続けている作曲家に作品を委嘱すると共に、ブーレーズの他ルトスワフスキ、ペンデレツキ、ティペットなどがBBC交響楽団で自作を指揮した。
1978年からゲンナジー・ロジェストヴェンスキー、1988年からはアンドルー・デイヴィスが首席指揮者を務め、その積極的な活動から新たな人気を博している。エルガー、ブリテン、ヴォーン=ウィリアムズ等のイギリス音楽のレコーディングシリーズを進め、同時にコンサートでは「ブリティッシュライン」というイギリス音楽のシリーズ企画を始めている。2000年からレナード・スラットキンに引き継がれ、2006年のBBCプロムス(世界最大級のクラシック音楽祭)初日からはイルジー・ビエロフラーヴェクがその任に就いている。
また2000年には同交響楽団は初のAssociate Composerにマーク=アンソニー・ターネジを指名、また2003年6月にはジョン・クーリッジ・アダムズを提携芸術家に任命している。首席指揮者ばかりでなく、これまで客演指揮者にもアルトゥーロ・トスカニーニを始めとして著名な顔ぶれが揃っている。首席客演指揮者は2005年にユッカ=ペッカ・サラステからデーヴィッド・ロバートソンに交替した。
BBC交響楽団は数多くの現代音楽作曲家たち、特にイギリス人作曲家に新作を委嘱している。ハリソン・バートウィスルの「Earth
Dances」、ブーレーズの「Rituel in memoriam Bruno Maderna」、ジョン・タヴナーの「The Protecting Veil」はみな、同交響楽団によって世界初演された曲である。BBCプロムスにおいては主要な役割を果たしており、ロイヤル・アルバート・ホールでの初日と最終日はBBC交響楽団が管弦楽を担当する。
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