クラシックの音楽コンクールといってもまさにピンからキリまで、日本国内だけでも200以上のコンクール・オーディションが開催されています。対象もピアノ、声楽、管楽器、打楽器、アンサンブル、指揮等々すべてのジャンルにわたってあります。数あるコンクールですが、同じ「コンクール」という名称でも、参加者のレヴェルは主催者、審査員の名前だけで大きな差があることは、実際にいくつかのコンクールを受けた人やその世界にいる人でないとわからないようです。
国際コンクールと名称がついているコンクールがありますが、これは国際音楽コンクール世界連盟に加盟しているコンクールで、公募方法、審査規定、運営組織としての条件や賞、顕彰、上位のコンクールへの出場権などが規定されているコンクールです。(仙台国際音楽コンクール、浜松国際ピアノコンクール等)
またコンクールの中には営利を目的に運営されているものもあります。(オーディションという名称のことも多いが)。そういったコンクールでは参加料などが比較的高く、入賞者や合格者を数多く出して、コンクール終了後に入賞者演奏会などと銘打って演奏会を持ち、入場券を演奏者に負担させて成り立っているものもあります。
もっとも一般の人にはコンクールの中身までは知る余地もないので、コンクールに入賞といえば、経歴にも載せることが出来、ステータスにもなるため、コンクールへの参加者もその辺の事情もある程度知って参加しているようです。こういったコンクールも多くの音大生の励みになるという点では必要だということもできます。
それでは一般的に認知されている(レヴェルの高い)コンクールとはどのように見分けられるのでしょうか。それは主催者、審査員の顔ぶれ、賞金の額が目安になります。主催者は地方自治体や公共団体のような営利を目的としていない団体等で、審査員はその世界での知名度の高い方が多くいて、賞や顕彰の額が多額となれば、必然的にレヴェルの高い参加者が多く集まり、一流のコンクールと言われるようになります。
知名度の高い審査員が多くいるとレヴェルがあがるという理由の一つとして知名度の高い(ある程度年齢を重ねた)審査員はお弟子さんや、関係している音楽大学の学生などが多くいて、その生徒たちが先生に促がされて数多く参加してきます。コンクールでは誰に師事した人が入賞したかで先生の指導の評価もされるので先生も積極的に参加を勧めます。そのため、コンクールの中には自分の師弟に甘い点をつけないよう、演奏ステージにブラインド(目隠し)を施して審査するところもあります。(そうしても自分の生徒は殆どわかるようですが)
このように日本国内のコンクールだけでもかなりレヴェル差があるので、外国でのコンクールなどでは、知名度の高いコンクールを除き、名前も知らないような☆☆コンクール入賞などと、いくつも経歴にあってもその実力のほどは実際に聴いてみないとわからないというのがほんとうのようです。
逆に、中にはコンクール荒らしといわれる、レヴェルの高い一部の学生がコンクールの賞金目当てにさまざまなコンクールを受けて入賞しているつわものもいます。もっともコンクールの参加資格は殆どが30代前半までなので、若いうちだけですが。
|