オーケストラのライブラリアンとはオーケストラの演奏で使用する楽譜の調達と管理を専門に行う人のことです。プロのオーケストラとして活動している団体には、ライブラリアンが常勤の職員として1〜2名、ライブラリアンのアシスタントが数名程度働いています。通常プログラムの楽譜は、レンタル譜の場合は演奏会の約一ヶ月前、新曲の場合は約2ヶ月前には準備されます。
楽譜の調達
ライブラリアンの仕事は、演奏する曲目が決まった時から始まります。まず楽譜がライブラリーにあるかどうかを調べ、無ければ借りるか、買い取るかという判断をして楽譜を手配します。
現代作品や新たな校訂版には楽譜がレンタルのみというケースがあります。またオーケストが既に楽譜を持っていても、古い版を使うのか、新しい物にするのかを最初にチェックすることが大事な仕事になります。(どの版を使用するかは、公演の最高最終責任者である指揮者や、ソリストが決めます。)レンタル譜の中には非常にレンタル料が高いものもあります。(レンタル料の高さによってその曲が敬遠されるということも聞きます。)追加公演の場合などはレンタル料の追加があります。
楽譜のチェック
レンタル楽譜が届いたら、落丁の有無、練習番号の確認など細かくチェックします。オーケストラのパート譜は通常、弦楽器・木管楽器・金管楽器・打楽器・他の順で各楽器の順番も決められています。楽譜がバラバラの場合は並び替えをします。
楽譜の補修
使用頻度の多い楽譜や、古くなった楽譜は痛んできたりしますのでライブラリアンは補修の作業を行います。
また、時には新たに楽譜を製本し直したりしたりすることもあります。その際、(特に製本の場合)に気をつけることとして、楽譜を譜面台においた場合に開きやすいこと、また時間の経過とともにはがれたり、変色したりしないような工夫も必要になります。(通常はメンディングテープを使用)
また、演奏途中での譜めくりはめくりによって、演奏にさまたげにならないような工夫が必要になります。(休符の部分でめくりがくるようにする等)
楽譜への書き込み
弦楽器の楽譜にはボーイングと言われる弓の動きを示した記号が必要ですが、コンサートマスターや指揮者が決めたボーイングを他の弦楽器の楽譜に事前に書き込んだり、楽譜のミスを直したりするのはライブラリアンの重要な仕事です。また練習番号がない場合に番号をつけたり、カットがある場合それを書き込んだりすることもあります。
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