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ビオラジョーク

クラシックの世界では、ビオラジョークといわれているものがあります。これはヴァイオリンやチェロといった弦楽器の花形に囲まれて慎ましやかに存在するビオラという楽器をジョークで揶揄したもので、ネット上でも多くのサイトがあります。ちょっと長くなりますがここで紹介しましょう。

 以下は1994年10月21日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された「アメリカ習俗学会および民族音楽学会」にて Carl Rahkonen が発表した論文で、「ビオラジョーク」について、そしてヴィオラという楽器を理解する上で非常に興味深い内容なので、ここに引用させていただきます。

【音楽家の間での口頭伝承としてのヴィオラジョーク】

 ある種の専門性を持った集団の多くは、自分たちで共有する専門的な知識と経験に基づいた話やジョークを語り合うが、音楽家たちもまた例外でない。近年、音楽家の間ではヴィオラに関する一連の冗談が存在している。念のため、ヴィオラという楽器に馴染みのない読者の方に説明すると、ヴィオラはヴァイオリンよりも若干大きく、アルトあるいは管弦楽の弦楽器セクションの中音域を担当している。

 私自身ヴィオラ奏者であり、同時に民間伝承(folklore)を研究している民族音楽研究家でもあるので、ヴィオラジョークが語られることに殊に興味を払い、3年以上の間に50のサンプルを収集した。これらを語ってくれた数多い音楽家の証言によって判明したことは、これらのジョークの出所は音楽大学(あるいは大学の音楽科)であったり、有名な交響楽団であったり、地方や地域のオーケストラであったり、場合によっては海外のオーケストラであったりするということである。

 さらに、一連のヴィオラジョークの濫用の証拠として挙げるが、私はWQEDピッツバーグ・クラシック・ミュージック・ラジオステーションの番組のいくつかでヴィオラジョークが取り上げられているのを聴取した。また、 ピッツバーグ・ミュージシャン というアメリカ音楽協会60-471支部の会報に掲載されているのを見た。また、クリーヴランド・プレイン・ディーラー 1994年3月27日号ではクリーヴランドオーケストラのヴィオラセクションについての記事があったが、その見出しは「ヴィオラジョークに気をつけろ」というものだった。また、最近では漫画家達もヴィオラを作品に取り上げている。[紙の論文ではここに実例が入っている]

 私が個人的に聴取したヴィオラジョークについて子細に検討すると、それら一連のヴィオラジョークは1992年に始まり、1993年にそのピークに達し、現在ではかなり勢いが弱まっている。

 これらのジョークを整理するために6つのカテゴリーに分類したが、それらのカテゴリーは必ずしも互いに排他的な関係にない。
1.ヴィオラそのものを貶めるジョーク
2.ヴィオラ奏者を貶めるジョーク
3.音楽を専門としなくとも容易に理解できるジョーク
4.音楽をやっている者以外には理解が難しいジョーク
5.ヴィオラジョークを語る音楽家に逆襲するジョーク
ここに挙げた5つのカテゴリーはいずれも問答形式を取っている。それに属さない第6のカテゴリーを設け、
6.物語型ジョーク

 [ここでヴィオラジョークを引用していますが、そのすべては ヴィオラジョークに収録されています。]

 ここまで読んだら、ヴィオラというものはオーケストラの中でいわば二級市民的な扱いを受けていることが理解されるだろう。これにはいくつかの理由が存在する。ヴィオラパートというのはヴァイオリンパートより容易で、しかもそれはより重要でない、旋律的でないものである。ヴィオラに難しいパートが割り振られた場合、これは実際よくあるのだが、彼らはそれを一生懸命演奏しようとあがく。

 楽器そのものの性能としては、ヴァイオリンやチェロほどは音がのびない。それというのもヴァイオリンよりも5度低く調弦されるのに、そのサイズはわずかに10%程度しか異ならないからである。また、ヴィオラソロ用に書かれた作品はごく限られている。ソロの曲の少なさ、オーケストラパートが簡単という点では、コントラバスも同様の定型化に当てはめられやすい。

 さらにもう一点のハンディキャップは、ヴィオリストの多くは最初にヴァイオリンから始めているということである。たとえば、最近の最も偉大なヴィオリストに挙げられるウィリアム・プリムローズですら、彼の著書"Playing the Viola"の中でヴァイオリンからはじめてヴィオラに転向したことに1章をさいている。さきに述べた"クリーヴランド・プレイン・ディーラー"の中で、クリーヴランド・オーケストラの11人のヴィオリストのうち10人までがヴァイオリンから始めたことが明らかにされている!

 一つの仮説であるが、中学校のオーケストラの中で、指導者が下手なヴァイオリニストをヴィオラに転向させるということがあるのではないだろうか。ヴィオラならあまり演奏の邪魔にならないし、あるいは役に立つことすらあるかもしれない。ヴィオラ奏者はヴァイオリン奏者になれなかった者として、往々にしてより劣った音楽家と見られるようになるのである。

 追加要因として考えられるのが、オーケストラ自体の音楽的権威によるヒエラルキー構造である。指揮者が権威の最高潮である。その次がコンサートマスター、すなわち第1ヴァイオリンの首席である。金管、木管、打楽器は基本的に1人1パートを持つソリストであるから、本当の順位争いは基本的には弦楽器セクションの中に現れる。

 すべての弦楽器セクションには首席奏者がいて、運弓、運指、フレージング等についてセクションをリードする役割を持っている。また、彼らは曲の中でソロの指示があった場合、それらを弾くことになる。さらに、各弦楽器セクションも上手な演奏者ほど前の方に座るというヒエラルキーに従った着席をする。同様に、このヒエラルキーが弦楽器全体にも作用する。第一ヴァイオリンは常に主要旋律を奏でる最も重要なパートとして君臨する。おそらくチェロがその次であり、セカンドヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスがそれに続く。ヴィオラは常にヒエラルキーの最下層もしくはそれに近いところに置かれている。

 これには歴史的な理由がある。交響曲が書き始められるようになった頃、独立したヴィオラパートを持っている曲は比較的多くはなかった。ヴィオラはチェロとユニゾンで演奏し、必要に応じてオクターブ移動するようになっていた。初期の交響曲には弦楽器のパートは3つしかない。すなわち第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンとバスである。気の毒なヴィオラはバスについてまわり、そして多くの場合、ヴァイオリンがあまり達者でない者が演奏した。  〜以下省略〜 

1994年10月21日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催されたアメリカ習俗学会および民族音楽学会 にて Carl Rahkonen が発表。Copyright (c) 1994.






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